奨学金の返済を滞納するとどうなる?
社会人になっても、奨学金が返済できずにいる。
それが社会問題にもなっています。
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1970年代半ば、学歴社会が確立されてきたころです。
授業料が値上がりに次ぐ値上がりとなり、日本の大学は世界と比較しても「最も高い学費」となりました。
一方、バブルが崩壊し一般家庭の収入は激減するばかり。
リストラが社会問題になったものその象徴です。
学歴社会はなくならない。
日本の大学に入学し、卒業するまでには莫大な費用が掛かる。
しかし収入は減る一方。
奨学金に頼らなければならない流れは当然ともいえる状況です。
現在の大学生はおよそ半数が何らかの奨学金を利用するまでになっています。
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貸与型の奨学金
現在の日本、その奨学金は貸与型です。
世界を広く見てみるとほとんどの奨学金が給付型、つまり返済の必要がなく「もらうもの」となっています。
貸付となる奨学金は借金です。
そこには金利があり、元金以外にも利息の支払いがあります。
さらに返済が遅れると延滞金も10%加算されるため大きな負担としてのしかかってきます。
独立行政法人日本学生支援機構、延滞すると・・・?
奨学金を受けている方の大半が日本学生支援機構の利用となるでしょう。
ここでは延滞した場合にはどのような対処をしているのでしょうか。
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本機構では、返還金を延滞すると、本人、連帯保証人、保証人に対して、文書と同時に電話による督促を行うこととしております。
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督促電話は日本学生支援機構の職員のほか、債権回収業務を委託された会社から行われることもあります。
電話をかける時間は9時から21時までと決められているものの、平日だけではなく休日にも電話があります。
”気を付けて!”
自宅電話や携帯電話の番号の変更もしくは電話にでないということが続いた場合、勤務先の電話があります。
”さらに返済が遅れると”
長期間の延滞があると、民事訴訟法に基づく法的措置が取られます。
1.支払い督促予告
↓
2.支払い督促申し立て
↓
3.仮執行宣言付き支払い督促申し立て
↓
4.強制執行
日本学生支援機構の奨学金を返済できない場合
奨学金の返済ができない場合、日本学生支援機構ではいくつかの救済措置を用意しています。
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■半額ならば返還が継続できるなら「減額返還」
・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合
・ 一定期間、「1回当たりの当初割賦金を2分の1に減額」して、減額返還適用期間に応じた分の返還期間を延長する
”注意!”
返還予定総額が減額されるものではない。
延滞している場合は利用できない。
■現在の返済が困難で返済を待ってほしいなら「返還期限猶予」
・災害、傷病、経済困難、失業などの返還困難な事情が生じた場合
・一定期間「返還を停止し先送りにする」
”注意!”
返還すべき元金や利息が免除されるものではない。
■本人が死亡・障害により返還できなくなった場合及び、教育又は研究の職に就いた場合は「返還免除」
・本人が死亡、精神若しくは身体の障害により働けなくなったなど返還ができない場合、返還未済額の全部又は一部の返還が免除される
・平成15年度(2004年3月31日)以前に大学院の第一種奨学生に採用となり、奨学金の貸与を受けた方が、所定の要件を満たし、教育又は研究の職に就いたとき
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ご覧になってもわかるように
死亡、もしく重度の障害によって返済ができない状況にならない限りは
返済を遅らせること、返済額を減らすことはできるものの、
返済から免れることはできません。
これが、奨学金地獄と呼ばれる理由の一つです。
奨学金も債務です。
どうしても返済ができない場合には債務整理を利用することもできます。
ただし、個人信用情報機関には事故情報として記録されることも覚えておかなくてはなりません。
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勉強をしたいと思う気持ち
奨学金の滞納が大きな問題となり、学びたいという意欲が報われない時代になりました。
しかし、今、
給付型の奨学金を実施している団体、学校も増えてきています。
これから大学生になるという若者に、
奨学金=債務であること、
さらに債務には返済があり、利息も加算していかなければならないことも
勉学と同時に考えなければならないとすれば到底難しいことです。
しかし容易な判断はできません。
将来に夢と希望をもって学びたかったはずが、
いざ卒業をしたときから始まる奨学金の返済。
このような状況にならないように、奨学金を検討している方は
調べつくさなくてはなりません。