質屋と消費者金融、どう違う?
お金がどうしても必要となったとき、
お金を用立てる手段として消費者金融だけではなく、リサイクルショップや質屋という方法もあります。
質屋って何?
歴史は古く、鎌倉時代からあったという質屋。
しかし1970年代に無担保融資の消費者金融が広まり、有担保で高金利の質屋は激減しました。
とはいえ、全くなくなってしまったわけではありません。
個人質屋も全国に数多くあり、さらには全国展開をしている大手質屋もあります。
有名なところでは
関東の大黒屋
関西のオフプライスショッププラス
九州の高山質店
などがあります。
本来は質預り(品物を担保(質草)にして、品物の価値に見合う融資)が質屋の本業ですが
無担保融資の消費者金融がシェアを広げていることもあり現在は質預りだけだけではなく、買い取りや販売も行っています。
質屋のシステムは?
質屋には、品物を預けて融資を受け、返済をして品物を返してもらうという流れがあります。
品物を査定することで融資額を決定しています。
融資額と引き換えに品物が担保となるめ、3か月以内に返済をすれば品物が返って(出質)きます。
返済がないと品物の所有権は質屋(質流れ)に移りますが、利息を支払うことで契約期限を延長することができます。
品物の査定額は千差万別!?
大手質屋であれば品物を査定するためのマニュアルがあります。
公式ホームページ上で目安となる金額が紹介されています。
例えばスマートフォンで思い浮かべてみるとわかりやすいはずです。
新しい機種が出てくればひとつ前の機種は格段に安くなります。
質屋査定額も同じ。
その時の買い取り市場の相場があり、需要と供給のバランスも考えられています。
また、新物の状態はいうまでもなくランクによって分けられています。
このような基本的な査定のチェック項目はありますが、
実際にはその質屋での在庫状況や販売状況にも関わります。
ブランド物が多く売れる店であれば商品の充実のために価格が高くなる傾向がありますが、
全く同じ商品であれば在庫が豊富である必要がない=質屋が求めていない商品になります。
簡潔に言うと、その質屋が求めている品物かどうかが査定額になります。
つまり、実際に査定してみなければ融資額はわからないという欠点があります。
買い取り価格と質預りの違い
例えばパソコンを1台、質屋に持っていくとしましょう。
買い取り価格と質預りにするのでは査定額には2割ほどの違いが出てきます。
もちろん買い取り価格のほうが金額が上です。
買取であればすぐに店頭に並べることができます。
品物にも「旬」があるため、パソコンであれば次の機種が出てしまえばもう価値は下がってしまいます。
3か月後になると価値が下がっているものもあります。
それが大きく買い取り価格と質預り価格の違いです。
また、質預りになった品物は店頭に並べるのではなく多くの質屋では金庫に大切に保管しています。
保管料もかねているためどうしても買い取り価格よりも下がってしまいます。
質屋と消費者金融の違いは?
質屋も消費者金融も大きく分類すれば同じ「金融業」です。
ただし、
消費者金融は貸金業法
質屋は質屋営業法
となっています。
貸金業法と質屋営業法の最も大きな違いは上限金利です。
貸金業法では、上限金利は元金によって違いがあるものの、明確に決められています。
一方で質屋の上限金利は9%
9%となれば消費者金融よりも格段に低いと感じるかもしれませんが、
実は年利ではなく月利9%です。
これは年利に換算すると109.5%にもなります。
消費者金融は上限金利20.0%、質屋は上限金利109.5%、
この違いは明らかに大きなものです。
大手質屋であれば年利は36%~96%ほどになっている傾向が強くありますが、
それでも消費者金融に比べると格段に高い金利です。
違法ではないの?
これほど高い質屋の金利。
違法なのではないかという思いは多くの人が感じています。
実際に質屋の高金利については何度も裁判で争われており、過去には最高裁でも判決が出ています。
しかし、無担保融資とは違い「品物を手放せば解決できる問題」であることと同時に、
「年間契約ではなく3か月という期間が限定された融資に対する金利」ということもあり、
最高裁の判決でさえも違法、合法、どちらも判決例が出ている状況です。
質屋と消費者金融、何が違う?
どちらにも決定的なメリットがあり、決定的なデメリットがあります。
質屋では、最大の魅力は品物が担保になるため審査対象となるのは「モノ」です。
返済をしなくても品物が質流れするだけになりますので取り立てなどの心配はありません。
一方で品物の質流れを防ぐためには金利109.5%という高額な利息を支払わなくてはなりません。
消費者金融では金利が20.0%までと低く設定されているものの、審査対象となるのは申込者自身。
これまでの信用情報が大きく審査に反映されます。
いる!悪質な質屋
消費者金融を利用するときには確実に正規の消費者金融であることを確認しなくてはなりません。
闇金業者が横行する貸金の世界で、大手消費者金融の選択肢は非常に危険です。
同じように質屋にも悪徳業者がいます。
気を付けなければならないポイントを押さえておきましょう。
・連絡なしの訪問質屋
・年金担保
・取り立て
・本人確認書類なし
・クレジットカードのショッピング枠を現金化
これらの質屋は違法業務を行っています。
質屋を選ぶときには気を付けなくてはなりません。
結局、質屋?消費者金融?
まずはっきりと覚えておきたいのは「確実に必要な金額があるときには消費者金融」ということ。
質屋の場合、査定をしてもらいながら少なくとも数件は見て回らなくてはなりません。
なぜならその質屋によって得意としてる品物、強化中の品物が異なるからです。
例えばブランド品を主に取り扱う質屋に着物を持ち込んだところで高額の可能性は薄い。
逆に骨とう品を専門とする質屋にパソコンを持ち込んだところで価値が正しく見定められるかといえばそうではないでしょう。
品物にいくらの価値がつくのか。
さらにはその品物は本物か偽物か。
事前にその価格を推測したところで思いがけず低い金額になることも少なくありません。
どうしても「借りることができない」「借りたくない」場合に、
そして、「場合によっては質流れも覚悟できる」場合に
質屋の利用を考えるとよさそうです。